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形骸化する検討委員会
2月15日に第22回福島県「県民健康調査」検討委員会(以下、検討委員会)が開催されました。この検討委員会で最も注目を浴びるのは甲状腺検診結果です。「先行検査」での「悪性ないし悪性疑い」となった人数はさらに増加しました。前回と同じく口頭の説明だけでしたので、本格検査の二巡目も含めた人数を表にまとめてみました。
調査対象38万人 | 悪性ないし悪性疑い | 手術済み |
---|---|---|
先行検査(1巡目) (300,476人受診 / 受診率 81.7%) | 116人 (良性結節1人含) | 101人 (良性結節1人含) |
本格検査(2巡目) (236,595人受診 / 受診率 62.1%) (平成26年~平成27年12月31日) | 51人 | 16人 |
合計 | 167人 | 117人 |
表の結果を見れば明らかなように「悪性疑い」と診断された場合は、ほとんど「悪性」とみて間違いありません。しかし、検討委員会の見解は「放射能の影響は考えづらい」と今までの見解を踏襲したものです。このことをみると、結論ありきで、この見解を変える気はないのかもしれません。
さらに、この流れに拍車をかけるかもしれないと思われるのは、今回の検討委員会に甲状腺外科の専門医である清水一雄委員が欠席したことです。このような専門家が誰一人出席しない中で、今回の検討委員会は開催されたわけです。また、前回、星北斗座長の「放射能の影響は考えづらい」という見解に対して質問をした春日文子委員も欠席しました。そして、すでに福島県立医大からは、甲状腺専門医である鈴木眞一医師に代わり内科医の大津留晶医師となっています。
検討委員会としながらも、専門家不在の中で何が検討されようとしているのでしょうか? 第22回検討委員会は検討委員会が形骸化していることを示唆するような会でした。
(あべひろみ)
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