© NPO法人 ふくしま30年プロジェクト All rights reserved.
福島県内自治体の持ち込み検査に見るコシアブラの結果
福島県内の自治体が受け付けている、自家消費用農産物の放射性物質簡易検査の4月と5月分の結果からコシアブラを抜粋して表を作成しました【表1】。各自治体の検査結果で最高値となるものはどれも基準値超となっていますが、2015年4月の検査結果と比べると全体的に低下しています。
【表1】2021年4月から5月にかけての
福島県内自治体の持ち込み検査結果よりコシアブラ抜粋
自治体名 | 測定件数 | 基準値超件数 | 基準値超割合(%) | 中央値(Bq/kg) | 最高値(Bq/kg) |
---|---|---|---|---|---|
桑 折 町 | 4 | 4 | 100 | - ※1 | - ※1 |
福 島 市 | 45 | 27 | 60 | - ※2 | 1688 |
川 俣 町 | 6 | 5 | 83 | 2261 | 3446 |
二本松市 | 8 | 7 | 88 | 694 | 919 |
須賀川市 | 3 | 2 | 67 | 270 | 777 |
白 河 市 | 1 | 1 | 100 | 558 | 558 |
南相馬市 | - ※3 | - ※3 | - ※3 | - ※3 | 1397 |
いわき市 | 18 | 14 | 78 | 175 | 363 |
下記表とグラフは、2012年から2020年にかけて、福島市に持ち込まれたコシアブラの検査結果をまとめたものです【表2】【図2】。検査数は2016年の166件をピークに減少傾向にあり、2020年は37件と、2016年の22%まで激減しています。また、コシアブラの数値も2013年に検出した53,200 Bq/kgをピークに、その後も波はありますが2020年まで下落傾向を示しています。そして、基準値超の割合も2015年の85%から2020年は62 %まで減少しています。
コシアブラの検査数と検出した際の数値の減少は、コシアブラがもっともセシウムを吸収するということが山菜採りの人たちに認知され、わざわざ検査に持ち込む人が減ったからではないでしょうか。また、最高値の下落傾向が顕著なのも、50,000 Bq/kgのコシアブラが採れた場所から再び採ってきて、わざわざ検査に持ち込む人がいないからではないでしょうか。
そして、基準値超の割合が減少したと言っても検査結果の62 %が超過という状況は、まだまだ安心してコシアブラが食べられる環境ではないことを物語っています。自治体の持ち込み検査の結果は大きくアナウンスされませんが、貴重な情報の一つとなりますので引き続きチェックをしていきたいと思います。
【表2】2012~2020年
福島市の持ち込み検査結果よりコシアブラ抜粋
年度 | 測定件数 | 基準値超件数 | 基準値超割合(%) | 最高値(Bq/kg) |
---|---|---|---|---|
2012 | 56 | 48 | 86 | 3220 |
2013 | 101 | 81 | 80 | 53200 |
2014 | 151 | 129 | 85 | 17060 |
2015 | 159 | 135 | 85 | 42382 |
2016 | 166 | 132 | 80 | 3654 |
2017 | 86 | 63 | 73 | 2606 |
2018 | 109 | 75 | 69 | 4179 |
2019 | 23 | 18 | 78 | 1849 |
2020 | 37 | 23 | 62 | 2538 |
【図2】
※1 桑折町は検査件数と基準値超件数のみを公表しているので、具体的な数値は不明。
※2 福島市は最高値と最低値、及び平均値は公表するが、検査したすべての検体の数値を公表しないため中央値は不明。ちなみに、平均値については4月は542 Bq/kg、5月は78 Bq/kgと公表した。
※3 南相馬市は、検体を受け付ける検査所ごとに最高値を検出した品目については公表するが、検体ごとの具体的な検査数は公表しないため詳細については不明。
【告知】1月28日開催オンラインセミナー「原発災害と研究者 -チョルノブィリ原発事故(ウクライナ)の研究者が見つめた日本の原発災害-」
ロシアのウクライナ軍事侵攻により、ニュースでチョルノブィリ(チェルノブイリ)原発の名称が流れ、あらためて、かの原発がウクライナに所在すること…
【告知】12月17日開催「東日本大震災・原子力災害伝承館/とみおかアーカイブ・ミュージアム」日帰り見学ツアー
NPO法人ふくしま30年プロジェクトは2022年12月17日(土)に、「東日本大震災・原子力災害伝承館」及び「とみおかアーカイブ・ミュージア…
【告知】オンラインセミナー「原発事故とジェンダー 誰が事故の被害を語ることができるのか」
下記リンク先では、地域の声を把握するためには世帯単位の「戸」ではなく、個人単位の「個」へのアンケートの必要性についての論考が述べられています…