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【報告】小山良太氏 勉強会「風評被害」

 5月27日(土)に開催した、小山良太氏(福島大学経済経営学類・教授)勉強会。今回の勉強会は、テーマを「風評被害」に設定したのですが、わたしにとっても、とても勉強になる時間でした。
 そして、この日は福島地方紙の一面に、福島県産品についての消費者意識調査の結果が大々的に載っていて、偶然とはいえ『すごいタイミング』と驚きました。見出しになっている、『「不安ない」「不安薄らぐ」9割』という結果も、わたしの実感としては、色んな意味で感慨深いものがありますが…。

県産品「不安ない」「不安薄らぐ」9割 JA福島中央会 首都圏調査 福島民報

※平成28年調査 984人回答 福島民報掲載データより


 小山先生のお話しはとても聞きやすく、理路整然としていて、わかりやすい内容でした。福島県産農産物の売上低迷は、収束していない原発事故の影響があってのことなのだから、実害でもあるはずなのに「風評被害」という言葉が独り歩きをしている現状。売り上げが伸びないのは、消費者の意識や行動にあるのではなく、福島県の農産物販売のマーケティング戦略の不備であったり、311後に固定化した流通体制から、福島県産が弾きだされてしまったことなど。
 小山先生の分析では、【復興】と一括りに言っても、なかなか元通りの状態を取り戻せないものがあって、具体的には、

・農作物のブランド価値
・過ぎ去った時間

を上げて説明してくださいました。このうち、毀損されたブランド価値については、アパートやマンションの事故物件を例に出して解説してくださいました。この例は、まさに人の割り切れない心情として、本当に納得できるものでしたので、素直に頷けました。また、現在、行なわれている風評被害対策と呼ばれるものは、事故直後の各種データに基づいて立てられたものであり、それから6年が経過した今、あらためてリアルな現状分析や見直しが必要とのことです。
 この、あらためての現状分析や見直しの話を受けて、小山先生からは『今後どうしていけば…』という対策面のお話しもありました。一つは、毀損したブランドに拘るのではなく、新しいブランドを立ち上げること。これは、北海道や山形県のブランド米を例に出して説明してくださいました。マーケティングと営業を徹底して新ブランドを立ち上げた両道県は、現在確たる地位を築いたそうです。逆に、福島県は特に何もせずとも売れるという恵まれた状況にあったため、マーケティングや営業に不慣れであり、それが既存のブランドが傷ついたときに対応できないという、現在に繋がっているそうです。
 また、福島県産が食用米として生産しても多くが飼料米になってしまう現状ならば、最初から飼料米として生産した方が、営業的にも、そして食用米が飼料米に買いたたかれてしまうことによって生産者がやる気を失ってしまうことを考えても健全だということでした。これは、食用米についても家庭用に流通する米に拘るのではなく、外食用として大口の顧客を獲得するように方針転換をすべきとも仰っていました。

 今回の勉強会は、色々な立場の皆さんが参加して下さいました。小山先生のお話で、参加者それぞれが考えるきっかけを作れたようで、多くの方から「参加して良かった」とうれしいお言葉をいただけました。

( さはら まき)

 

※ 【復興】
復興という言葉は、再び盛んになることなので、元通りになるだけでは復旧にしかならない。しかし、現在、復興という言葉は、震災前のように元通りになることを指すことが多いので、ここではその意味で使っています。


しんきん絆ロゴ-横

この事業は、「東日本大震災現地NPO応援基金『しんきんの絆』復興応援プロジェクト」の助成金を活用して行っています。

 

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