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汚染土(1キロ当たり8000ベクレル以下)の再利用決定

 6月30日に環境省は、東京電力福島第1原子力発電所事故(以下、第1原発事故)に伴う除染によって保管された汚染土が、1キロ当たり8000ベクレル以下になった場合、道路整備などで再利用する基本方針を決定しました。これは、上記事故が起きてから制定された「放射性物質汚染対処特別措置法」にもとづいて決定した方針です。「放射性物質汚染対処特別措置法」では、8000ベクレル超を指定廃棄物と指定し、8000ベクレル以下を「問題なく廃棄処分できる基準」としています。
 この法律とは別に、事故前からある「原子炉等規制法」では、原発解体で出た金属などの安全に再利用できる基準を、放射性セシウム1キロ当たり100ベクレルと定めています。「除染土壌の取り扱いについて - 指定廃棄物の行方  その2 –」で、除染後の土壌の取り扱いの問題に触れたときに、この二つの法律が齟齬を起こしていることについて取り上げました。今回の環境省の方針決定は、原発から100ベクレルを超えるものを持ち出すのは禁止だが、第1原発事故によって汚染された土壌は8000ベクレルまで再利用が可能という、明らかに矛盾を抱えたものです。
 環境省もそのことを自覚しているらしく、非公開の会合でこの件について議論したことが毎日新聞のスクープ報道で判明しました。この非公開会合は「放射線影響安全性評価検討ワーキンググループ」といい、「8000ベクレルを汚染土再利用の上限値とするための理論武装の場となった」とあります。この中で、JAEA担当者から「例えば5000ベクレル(の汚染土)を再利用すれば100ベクレルまで減衰するのに170年。盛り土の耐用年数は70年という指標があり、供用中と供用後で170年管理することになる(引用元より原文ママ)」との試算を示したとあります。そして、その後管理期間を巡る議論は深まらないまま、このワーキンググループの上部組織の戦略検討会は汚染土の用途ごとの目安を示して、再利用を6月7日に了承したとのことです。
 環境省がこの基本方針を決定したことにより、道路に再利用する汚染土管理についての安全判断が先送りとなりました。これまでも、先送りの先例として、原発からの使用済み核燃料の処理問題があったわけですが、またかという感じです。10万年という使用済み核燃料の管理と比べれば、この170年という期間はまだ想像がつく範囲です。今から170年前と言えば、1846年ということで江戸時代末期です。それからの170年で、日本国内は大災害や戦争などを経ています。この5年でも東日本大震災や平成28年度熊本地震によって道路が寸断され、断層が現出した場所がありました。盛り土の耐用年数に70年という指標があるといっても、このような災害で耐用年数に達さずとも汚染土が表出する可能性はいくらでもあります。
 放射性物質の管理の基本は拡散させずに一箇所に集めておくというものです。しかし、環境省は、福島県内だけで推計で最大2200万立法メートル(東京ドーム18個分)もあるとされる汚染土の管理に限界を感じ、できるだけ再利用をして、拡散させることを選択しています。その矛盾を取り繕うために100ベクレルに減衰するまで管理すると言っていますが現実的ではありません。また、実際に再利用するとなった段階で瓦礫問題のときと同じように反対運動が起こり、市民の分断があるかもしれません。瓦礫処理は後になり、全国で処理せずとも間に合うことが判明して、環境省の試算が誤っていたことが分かりました。これには環境省の利権の獲得と分断を作る思惑があったのではないかとも取れます。同じようなことが起こることが、この汚染土の再利用でも十分に考えられます。
 私は、放射性物質の管理の基本に従うべきと考えますので、この環境省の方針には反対です。いくつも疑問が湧く方針ですが、もう一度基本に戻って議論を深めてほしいと思います。同じように先送りとした結果が、第1原発事故という最悪の事態に繋がったからです。                                    

(あべひろみ)

 

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