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常磐道での交通事故、排気塔の劣化。そして…

 5月4日夜、常磐道の帰還困難区域で乗用車とバスの正面衝突事故がありました。乗用車に乗っていた親子2人が亡くなり、バスの乗員や乗客40人が軽傷を負うという事故でした。私が第一報を知った時に思ったことは、危惧していたことが遂に起こってしまったかということです。
 常磐道が全線開通して以来、帰還困難区域で事故が起こったときの対処はどうなっているのか?ということでした。高い放射線量により常磐道では乗用車は窓を開けないことが推奨され、常磐道よりも福島第1原発に近い国道6号線では帰還困難区域内でのバイクでの通行や、降車が禁止されています。そのような区域で事故が起こった場合、対応のマニュアルがあるのか?
 事故の報道で、その疑問について取材したのは5月7日の朝日新聞 福島版のみでした。事故時、治療の優先度の高い人から搬送されていき、最後に残った23人がマイクロバスで楢葉町の病院に移送されたのは事故から2時間後ということでした。記事では、「その間、道路の上に敷いたブルーシートの上で待たされた」と乗客の一人からの証言も載っています。付近の空間放射線量は毎時4マイクロシーベルトを超すところもあったそうです。
 消防本部にも取材しており、現在、帰還困難区域での被保護者へのマニュアルはないとのことです。どうにも、理解に苦しむ話です。帰還困難区域を通過する常磐道や国道6号線では、オートバイの走行や窓の開閉を禁止して被曝軽減を推奨しているのに、事故が起こった場合に如何に追加被曝を防ぐかのマニュアルがない。これは高い放射線量で帰還困難区域となっているのに、利便性のために見切り発車で道路を開通させたということです。
 この事故とは別の事例になりますが、福島第1原発の1号機と2号機の間にある排気塔の一基(高さ約120メートル)の損傷が激しいために3年後をめどに撤去することになったという報道が6月5日の東京新聞でありました。10カ所に破断や変形が見られるため、東電は「地震や津波が再来した時に備え、リスクを減らすため」と撤去の理由を説明しています。
 この排気塔は破断した上に、5年間まったくメンテナンスをしていないので、塗装剥げによる塩害などの劣化が損傷を進行させている可能性があります。東電は、原子力規制委員会からこの排気塔への対処を通告されたため、撤去を発表しました。
 国道6号線で事故が起こった場合や、福島第一原発でのアクシデントが発生した場合。上述した事例を見ても、国や東電、福島県は何か起こってから、もしくは可能性が高まってから対応するという姿勢が見えます。国は、今年度中に避難区域の大部分を解除する予定ですが、こういったアクシデント、もっと言えば福島第一原発で大規模な事故が起こった場合の広域避難計画を自治体に要請しているという話を聞きません。これは避難を解除をしても多くの住民は戻らないだろうと高をくくっているのか、または5年が経ち、再び安全神話に戻ったために最悪の事態を考えたくないのか、どちらなのでしょう?
 福島第1原発の廃炉作業にはまだまだ時間がかかります。排気塔等の建造物は経年による劣化に加え、高レベルの放射線の影響と塩害が劣化に拍車をかけています。避難区域を解除して人を戻すことや交通量の多い道路を開通させるなど、現場を直視せず、福島第1原発に起因するリスクに目をつぶって、見かけ上の復興を実現しようとしているように見えます。そこに、国が本来行うべき国民を守る姿勢は見えません。これでは、いくら「福島の復興なくして日本の再生なし」と叫ばれても虚しいだけです。そして、最近はこの言葉も聞かれなくなりました。
 福島第1原発の事故の影響が強く及んだものは、そう簡単には元には戻りません。そこに耳心地のよい言葉を並べてくるものには、少し距離をおき、別の方向からとらえ直してみる必要があると思います。それが、私たちが5年前に体験したことの教訓です。

(あべひろみ)

 

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