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あの日から5年を迎えるにあたって
2016年となり原発事故から丸5年を迎えるなか、行政は避難者の切り捨てへと舵を切り始めました。東京オリンピックの開催までに福島第1原子力発電所以外は復興が順調に進んでいると国内外にアピールするためでしょう。実際には避難解除をして戻ることを躊躇している人たちが多く、理由も放射線に対しての不安や避難先での生活基盤ができつつあることなど様々です。
しかし、行政はそのような住民の立場に沿った施策を行うのではなく、先に挙げた東京オリンピックありきのスケジュールで避難解除を行う予定です。そして、避難自治体は住民の流出、ひいては自治体の存続危機を怖れて行政の意向に沿った動きをしています。
住民たちが望むのは事故前の環境です。除染をして空間線量が下がっても事故前のレベルには戻りません。それは、2月9日の丸川環境相の国会答弁でも明らかです。また、仮に空間線量が許容レベルだとしても、買い物や通院が容易に出来ず不便な環境になっています。このような例が他の地区でも発生する可能性が高く、2016年度末の避難解除では多くの自主避難者の発生が予想されます。
実際、現時点でも戻るのは高齢者ばかりで、町の中心となるべき若い世代が戻るのはわずかです。このままでは自治体の存続も含め、ますます地域の分断が進んでいくと思われます。避難地域とそうではない地域では人の意識自体が違うと感じています。福島県内でも避難地区でなければ、原発事故は過去のこととしたいという意識が感じられますし、現在も避難中の方々との乖離は確実にあります。このことは今後も影を落としていくでしょう。
そのような中で次年度、弊法人は引き続き母親たちのコミュニティーの回復に力を入れたいと考えています。避難から帰還した方たちと、残った方たちが一緒に語れる場を連携団体と共に提供していきます。小さいコミュニティーの回復から始めて、その輪を大きくしていくこと。これは2015年から始めた活動で、徐々にですが手応えを感じています。しかし、まだまだその存在が知られていません。是非、新しい輪を広げていくためにも、当法人主催のイベントへの参加や紹介をしていただけますよう、よろしくお願いします。
(あべ ひろみ)
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