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20173/2

【報告】原発避難の今を聴く -出会いと共生 福島・東京 子どもたちの未来を考える-

 「ふくしま30年プロジェクト」が、『福島の現状を 知り、語り、考える会』を世田谷で開催した同じ25日に、国立では『原発避難の今を聴く -出会いと共生 福島・東京 子どもたちの未来を考える-』というトーク&交流会が行なわれました。主催は、「福島とつながる種まきプロジェクトネットワーク(以下、種まきプロジェクト)」で、とみおか子ども未来ネットワーク理事長:市村高志さんの基調講演『「今は帰れません!」の現実』と、他ゲストを加えてのトークセッション、最後に参加者との交流会&ミニライブという三部構成でした。
 主催の「種まきプロジェクト」は2011年に福島の長期支援のため、市民活動ネットワークを活かして発足し、活動を続けてこられたそうです。主催者あいさつで、2016年度は、いわき市小名浜の漁業のスタディツアーや恵泉女学園大学と連携してのキッズキャンプなど、福島とつながる活動を行ってきたことが報告されました。また、避難区域の変遷と帰還政策、そして避難者の置かれている現状についての報告もありました。
 基調講演を行なう市村高志さんは、双葉郡富岡町出身 横浜市出身で、後に富岡町に移住、現在は東京都に避難生活中の方です。最初に主催者側が用意した基調講演のタイトルは、『「帰れません!」の現実』だったそうですが、市村さんから「今は」という言葉を付け加えてほしいと要望があり、現在のかたちになったそうです。『「今は」帰れません』の、「今は」の意味を解説することが、今回の講演の主旨ということです。
 この会の8日前の17日に、富岡町は国が提示した4月1日の避難解除(帰還困難区域を除く)を受け入れ、2017年度から、町として帰還を開始することが決定しました。市村さんの話は、この点から始まりました。富岡町民1万6000人の避難先は47都道府県に及ぶのに対し、避難解除の住民説明会は5回(いわき市:2回、郡山市:2回、東京都:1回)しか行われなかったそうです。そして、2016年8月に行った住民アンケートで帰還の意向について尋ねた結果は、戻りたいと答えたのが16%、それ以外が83%(戻りたくない57.6%、判断がつかない25.4%)で、国の意向と住民との間に決定的な乖離がありました。しかし、国はその溝を埋めることはせず、解除についてのアリバイ作りとして住民説明会を行っていったことが語られました。
 そして、市村さんが参加した東京での住民説明会で出た二大質問が「除染」と「福島第1原発」についてでした。この二つのうち、「福島第1原発」については廃炉作業、及び不測の事態が起こったときの避難体制、経路といった点も含まれます。この質問の根底にあるのは、町民たちの『もう、(原発事故)避難はしたくない』という思いがあるからです。わたしもこの点については、常磐道での事故や排気塔の劣化、及び廃炉発言問題などで指摘しましたが、避難が必要な事態が再び起こったときの不安は、強制避難の経験者にとっては切実なことです。実際、2016年11月22日の早朝の地震では津波警報が出され、いわき市では朝の車のラッシュとも重なり、大渋滞が起こりました。また、福島第1原発には仮設の防潮堤しかなく、この地震で起こった津波でシルトフェンス(汚濁防止膜/汚濁防止フェンス)が破損したと報じられました。
 今すぐに帰還しても、「除染」によって十分に低下したとは言えない空間放射線量と、「福島第1原発」といった不安定な構造物が生活圏にあるという二つの不安要素がある。そして、それを声高に唱えると『不安を煽るな』と責められる。このような二律背反の状態に陥るなら、帰らないほうがいい。しかし、そんなに簡単に自分の生まれ故郷を切り捨てられない。ひょっとしたら、子の世代、孫の世代には帰ることができるかもしれない。だから、『今は帰れません』として、『あえて、避難を続ける』選択をする。
 わたしは、市村さんのこの話の流れが非常に腑に落ち、自分のなかにすっと入ってきました。そして、彼が次に話した『自治体や国が生命、財産を守ると法律にありますが、有事が起こったとき、守ってくれますか? 絶対守ってくれません』にも、深くうなずきました。それこそが、3.11を経験して、わたしたちが得た教訓です。何かあったときは、自分の身は自分で守る備えをしなければならない。わたしは今回の話から、そのための一つとして放射能測定を始めとした、ふくしま30年プロジェクトの活動があるのではないかと、自分の活動の根源を再認識しました。最後に、市村さんは『今は回復を待つのがいい』と言って基調講演を締めました。
 富岡町を始めとして、飯舘村、浪江町、川俣町山木屋地区が2017年度になったところで避難解除になります。この6年で、国は最低限の生活環境が整ったのだから、そこで帰還判断をするのは住民側だとしています。そして、自治体も国の姿勢に倣ったかたちです。本来なら、住民との十分な合意形成がなされて解除となるべきですが、市村さんの話、そして、報道される住民説明会の様子からは、それとはほど遠いことが分かります。「有事」が起こらずとも、すでに国や自治体は生命、財産を守ってくれていないのかもしれません。
 第二部のトークセッションでは、避難指定を受けていない大玉村から母子避難をされている鹿目さん、そして、いわき市出身で東京在住の根本さんを交えての鼎談(ていだん)となりました。この第二部では、鹿目さんから母子避難の現実が話されました。市村さんのような強制的な避難とは違う、己で決断した避難生活。違いはそれくらいであり、精神的に受けている負担は両者とも変わりません。なぜ、被害者となった側がこのような辛苦を受けなければならないのか。朝日新聞が2月26日、28日と報じた朝日新聞と福島大学の今井昭教授が共同で避難住民に行ったアンケートにもそれは顕著です。弱者となった人々に対して行われる施策が、先述したとおり、国民の生命、財産を守ってくれていないことが分かります。
 この日、話されたことは、原発事故に翻弄され、悩み、そして、国の施策に抗っている人たちの存在を明らかにするものでした。国は、東日本大震災・原発事故から10年で復興庁を解散とする予定ですが、避難にまつわる問題はそんな短期に解決できるものではなく、それこそ、30年という長期に及ぶかもしれません。現在の国の施策だけでは、到底解決できない問題であり、市民団体のネットワークとの協働でないと無理な面があります。現在の、国と市民側の姿勢が一致しないかたちでは、誰も救われないという結果になるかもしれません。国・自治体への働きかけ、そして市民のネットワークの強化という難しい課題。避難者を支援していくため、そして、わたしたちが次の世代に残すかたちの一つとして、為さなければならないと思います。

(あべ ひろみ)

 

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