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ヤフオク!、メルカリ購入のコシアブラで基準値超過の顛末

 6月1日に東京新聞で「ヤフオク、メルカリなどで放射性セシウム基準値超えの山菜出回る」「まだ警戒必要なのに…国会ではセシウム基準値緩和の議論」という記事が掲載されました。また、同月3日には河北新報に「メルカリ出品の山菜からセシウム 福島市が自主回収指導」と、福島市保健所から出品者に指導があったことも報じられました。
 今季、『ヤフオク!』『メルカリ』でコシアブラを購入、ふくしま30年プロジェクトで測定したのちにみんなのデータサイト、TwitterやFacebookで数値を公開してきました。また、そのなかで基準値(100 Bq/kg)を超えたものを行政に連絡して、その対応が行われた結果、前述の記事となって報じられました。ここでは、その経緯を記したいと思います。

 昨年の秋、Twitterの投稿で、メルカリで取引した乾燥きのこを測定したところ、3,500 Bq/kgもの数値が検出されたのでメルカリに連絡したというものがありました。メルカリで乾燥きのこが出品されて、セシウムの値が基準値超というのは何ともショッキングでした。そのことが頭に残っており、今春はメルカリ等で福島県外のコシアブラを手に入れて、福島県外のコシアブラの実態を明らかにしようと放射性セシウムの測定を行なうことにしました。
 コシアブラ測定を始めて2件目の山形県産で、セシウム合算109 Bq/kgとなり基準値を超過しました。3,500 Bq/kgの乾燥きのこと同じように、購入したコシアブラから109 Bq/kgの放射性セシウムを検出したのは、なんともショックでした。
 今回の取引は業者ではなく個人売買ということで、出品者はコシアブラの危険性について疎い可能性があります。とは言っても、食品安全衛生法違反の可能性があるわけなので、行政に報告しなければなりません。まずは、産地である山形県の食品安全衛生課に連絡しました。それによると、このような通販の場合は最寄りの保健所に連絡して、その後、産地(出品者)を管轄する役所に情報が行くとのことでした。
 山形県食品安全衛生課からの手引きに従い福島市保健所に連絡し、検体の引き取り、申立書や取引履歴の提出を行ないました。ここでの取引履歴や各種情報などの情報は、測定結果に付随する情報としてすべて保存していたので、漏れなく提出することができました。このやり取りのなかで、保健所としては『ヤフオク!』『メルカリ』といった個人売買で山菜が出品されていることに驚いていることが分かりました。私も昨年の秋まで知らなかったことではありますが、行政がネットの情勢に疎いという実例を見た一幕でした。
 後日、福島市保健所での測定結果が出たのですが、残念ながら、ふくしま30年プロジェクトでコシアブラを切り刻んでいたので、あくまで参考値になるということでした。福島市保健所の測定でセシウム合算100 Bq/kgとなったのですが、厚労省の指示では105 Bq/kg以上でなければ基準値超にならないので、このコシアブラは参考値のうえ、また基準値超ともなりませんでした。ただ、基準値超でなくとも情報事態は、山形県食品安全衛生課にも行くということでした。
 その後もコシアブラの測定を続けたところ、山形県米沢市から採取のものと、山形県内から採取したものから相次いで100 Bq/kgを超える数値が検出されました。米沢市産はセシウム合算147 Bq/kg、山形県産はセシウム合算163 Bq/kgと、先の109 Bq/kg超のものとは違い、双方とも大幅に100 Bq/kgを超過していました。ふくしま30年プロジェクトと福島市保健所の測定で検出した数値に差があったとしても、この二検体は明確に100 Bq/kg超になるだろうというものでした。
 福島市保健所へ二度目の通報を行ないましたが、その間に米沢市産のコシアブラの傷みが酷くなっていたので、念のため、同じ出品者からもう一品購入し、それも一緒に提出しました。この二度目に購入した米沢市産コシアブラは、届いてすぐに保健所に提出したのでふくしま30年プロジェクトでの測定結果はありませんが、これのみコシアブラに傷みがないので福島市保健所の測定で確定値となりました。そのうえ、検出した数値は、これまででもっとも高いセシウム合算250 Bq/kgというものでした。
 この出品者は福島市在住であることも分かったので、ここからの福島市保健所の対応は迅速に行われました。出品者に基準値超による食品安全衛生法違反の疑いの連絡を出し、コシアブラの数値が確定するとともに回収等の指導も行いました。出品者は、県外ならばということで米沢市に採取に行ったようですが、県外に於いてもコシアブラのセシウム汚染が基準を超えていることに驚いているようでした。今回は事案は、それを知るよい機会だったとの連絡をもらいました。
 この件以後も、山形県産で139 Bq/kg、群馬県産で390 Bq/kgのコシアブラがありましたので保健所に検体の提出等、同じ手続きを行ないました。これらは出品者が福島県外ですので、米沢市産のようにすぐに解決はされないと思われます。
 また、米沢市産コシアブラについて追記しますと、福島市保健所は、出品者は売買した人たちを追えるので、その人たちに連絡をすれば十分であり、一般にプレスリリースは行わないことを伝えてきました。しかし、今回のコシアブラの一件は、販売した人たちだけに事実が知れればいいという事案でなく、多くの人たちが知られなければならない事例でしょう。私たちは、事実を広く知ってもらうために、東京新聞や河北新報に情報提供を行ない、この件を記事化をしてもらいました。特に河北新報は福島市保健所にも取材しての記事だったので、翌日、福島県地元紙である福島民報、福島民友も後追い取材によって報じることになりました。
 コシアブラが生える山の中は放射性セシウムが循環し減衰しにくい環境であり、またコシアブラも放射性セシウムを特に吸収する性質のために長きにわたって汚染が続く食物です。今回は、そのコシアブラの実態を調査しようと開始した『ヤフオク!』『メルカリ』での購入測定でしたが、ネットでの個人売買や一般の人が持つ放射性セシウムとコシアブラの認識など、事故から10年目に入ったところでの現状が判明した事案でした。今後も、随時こういった情報発信を行なっていきますので、引き続きご注目ください。

あべ ひろみ
2020年07月15日修正

 

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