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食品測定

7月6日活動報告「食品放射能測定」

7月6日に開催した「ふくしまでくらすためにできること ~放射線の測定と教育のこれから~」においでいただきありがとうございました。運営上至らぬところが多々あり、時間不足になってしまった点はまことに申し訳ありませんでした。
そして、「食品放射能測定」「ホットスポットファインダー」「ホールボディカウンター」「健康相談会」の活動報告をいたしましたが、レジュメ等の資料を用意しませんでしたので改めてこの場で順次公開させていただきます。
また、PDFファイルもダウンロードできますのでご活用ください。

食品・環境放射能測定結果.pdf

 

「市民自らが放射能測定をする意味とは?」

「NPO法人 ふくしま30年プロジェクト」は、東京電力福島第1原発事故による放射能汚染に直面し、放射能防護に対する判断材料を求める市民に対しての総合的な支援活動を行う事を目的に設立されました。

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2011年3月11日の東日本大震災によって東京電力福島第1原発事故が起きました。その時の行政の情報発信が隠蔽であったり過小評価な情報だったという事で、我々市民に不信感が生まれました。放射能の数値を自分で確認せずに、出されている情報を本当に信用できるものなのかという疑問が常に頭にある状態になりました。
また、当時暫定規制値500Bq/kg未満なら流通しても良いということでしたが、店頭に並んでいる物が実際に何Bq/kgなのかは表示されていないですし、自家消費の作物を測定する所もありません。もはや、自分達で測らなければ判断できないという状況から放射能測定所を立ち上げました。

 

NaIシンチレーターとゲルマニウム半導体検出器

           ATOMTEX AT1320A                                                           Princeton Gamma-Tech
 (2.5インチNaI(Tl)シンチレーション式)                        (ゲルマニウム半導体検出器、相対効率15.52%)

ふくしま30年プロジェクトには、簡易食品測定器と呼ばれるNaIシンチレーション式のAT1320Aとより精密に測定することのできるゲルマニウム半導体検出器の二つがあります。

 

ゲルマニウム半導体検出器用測定容器の種類

1.0L、0.5L、70mlの3種類の容器があり、少量の検体測定にも対応できます。自家栽培のものや、流通品を購入して測定する時に重宝します。

 

食品・環境放射能測定の料金

AT1320A 検出限界

Ge半導体検出器検出限界

ゲルマニウム半導体検出器は容器の大きさと測定時間によって検出限界値が変わります。
検体の量が多く、そして測定時間が長いほど検出限界値が低くなっていきます。
1.0Lマリネリ容器を使用して12時間測定した場合の検出限界値はセシウム各核種0.2Bq/kgとなります。

 

測定件数(年月別)

ふくしま30年プロジェクトの2014年3月31日現在のトータル測定件数は2344件です。
その中で2011年の測定件数は10月は221件、11月は276件、12月は228件です。しかし、2012年1月になると109件に落ち込み2月はさらに半分の55件に減っています。これは12月までで米の測定が一段落したのと、福島市の持ち込み測定体制が整ってきたからです。
そのまま50件台を推移していきますが、10月に75件、11月は98件と伸びていきます。これは再び米の収穫期になったのと、「お買物プロジェクト」を開始して自主測定を始めたからです。12月に33件と落ち込み、2013年1月から再び74件に増えます。ここから「お米測定プロジェクト」を開始し、2011年に測定依頼があった方に検体協力をしていただき測定を進めました。これは、2013年10月からも同様で「お米測定プロジェクト」で測定件数が増えています。ただ、それが終了した後の2014年1月からは30件を割るようになってしまいました。
また、2012年2月から稼働しているゲルマニウム半導体検出器は当初こそ測定件数が少なかったですが、現在はほとんどの測定がこちらになっています。これは、セシウムの検出する数値が思ったより低く、ゲルマニウム半導体検出器でないと測定出来ないものや少量しかない検体を測る機会が増えたためです。 現在のふくしま30年プロジェクトの主力はゲルマニウム半導体検出器だと言えます。

 

食品別件数

*食品の分類は「みんなのデータサイト」の分類に準じています。

全測定件数の中で、穀類 35%、いも・豆・種実・野菜類 20%、果実類 15%と農産物で70%を占めています。ただし、「みんなのデータサイト」の分類ではこれらの物を原材料としている加工品も一緒の分類として扱っているので、パンや豆腐、ジャム、ジュースといった物もこの中に含まれています。
逆に、肉類や魚介類がそれぞれ1%しかありません。これらは流通品ということでそれらを購入しなければならないので測定件数が少なかったと思われます。それを示す例として2011年は猪の肉の測定依頼が6件あり、肉類の測定件数の半分を占めています。購入しての測定依頼というのは購入するのにお金もかかる上に、測定後に廃棄しなければならないので仕方ないかもしれません。
また、環境測定は15%を占めていますがこれらは飲料水、汚染水、土壌といった物です。

 

産地別測定件数

2014年3月31日現在のトータル測定件数2,344件のうち福島県産が1,833件で78%を占めています。次に宮城県産136件、山形県産85件と続きます。福島市と接している近県からの依頼が多いことが分かります。
上の図は各県の測定件数をGoogle earthにプロットした物ですが、福島県があまりにも突出してしまうので県内は市町村単位で、県外は都道府県単位にしてあります。その為、見た目は宮城県が一番件数が多く見えます。
また、下の表は福島県内の各市の測定件数をまとめたものですが、福島市産で見ると1,018件で43%になります。ここでも地元の方からの依頼が多い事が分かります。
 

産地 測定件数 全測定件数の中の割合(%)
福島市 1,018 43
伊達市 151 6.5
喜多方市 91 4
二本松市 82 3.5
郡山市 65 3
いわき市 31 1.3
会津若松市 27 1
田村市 23 1
南相馬市 25 1
相馬市 14 0.6
須賀川市 12 0.5
白河市 7 0.3
本宮市 7 0.3

 

基準値(セシウム合算)超えの検体数

種類 測定件数 検出件数 100Bq/kg超え件数 検出率 (%) 100Bq/kg超え
検出率 (%)
穀類 810 511 15 63 1.9
いも・豆・種実・野菜類 472 192 15 41 3.2
果実類 348 192 37 55 19.3
きのこ類 94 76 41 81 43.6
山菜類 47 36 12 77 25.5

 

穀類は一番測定件数の多かった2011年にゲルマニウム半導体検出器で測定をしていなかったので、AT1320Aの検出限界値Cs各核種5Bq/kgで不検出になっていました。この時にゲルマニウム半導体検出器を使用すれば検出率は63%よりも上がったと思われます。
2011年に限定すると504件測定して検出したのは288件、検出率57%でした。2012年は195件測定して、検出は131件、検出率67%。2013年は106件測定して92件検出、検出率87%になっています。
また、100Bq/kg超えが15件、1.9%しかなかったのも意外でした。ただ、玄米と精米を混在していますので、実際は精米で測定している物でも玄米で測定すれば100Bq/kgを超えたものもあると思われます。
いも・豆・種実・野菜類は穀類と同じ傾向の検出率です。こちらも2011年の秋にゲルマニウム半導体検出器を使用すれば検出率が上がったでしょう。これらと比較すると果実類は100Bq/kg超えの検出率が6倍~10倍とかなり高い事が分かります。検出率自体は55%と穀類やいも・豆・種実・野菜類のちょうど真ん中の値ですので、Csの移行率が高い事が分かります。
そして、きのこ類、山菜類についてですが100Bq/kg超えの割合が際立っています。それぞれ、43.6%と25.5%が100Bq/kgを超えていますし、きのこについては500Bq/kg超えも29%もあります。きのこ類の検出グラフを見ると、高い数値を出す検体の数が多いという事がわかります。この高い数値のきのこについては野生のきのこだったり、または自宅で栽培している原木しいたけなので流通品というわけではありません。
 
【それぞれの検出数】

 

食品種別ごとのセシウム検出最大値

種類 品目 セシウム合計最大値(Bq/kg)
穀類 H23年度産あきたこまち玄米 861
いも・豆・種実・野菜類 688
いも・豆・種実・野菜類 大豆 688
果実類 ゆず 1,260
きのこ類 きのこ(松茸・しめじ) 26,580
山菜類 フキノトウ 16,879

米、栗、大豆、ゆず共に2011年度産が最大値となっていますが、きのこと山菜は2013年度産が最大値となっています。こういったところも、きのこ類と山菜類が他と違う点です。
ただし、どちらも汚染が高い飯舘村や浪江町赤宇木で採ってきた物であることは付け加えておきます。
 

セシウムの経年変化

次にCsの作物への移行の変化をを表したグラフです。

どれも、2011年度から2012年度にかけて急激にセシウムの数値が下がっています。これは米についてはカリを撒く、果実関係は粗皮削り(あらかわけずり)をすることでセシウムの移行を抑えたようです。 福島県農業総合センター果樹研究所の発表によると粗皮を形成する果樹は粗皮削りを実施することでセシウムが80~90%減少したとなっています。ただ、桃の木は粗皮削りをすると木が弱ってしまうので、高圧洗浄に留めているとも聞きます。
また、柿は経年でのセシウムの数値の下がり方が他の果実より鈍いのは、果樹農家以外の自家消費の物が多いからとも考えられます。

 

 

 

 

 

 

玄米からご飯までのセシウムの推移

種類 Cs-134 (Bq/kg) Cs-137 (Bq/kg) Cs合算 (Bq/kg) 種類 Cs-134 (Bq/kg) Cs-137 (Bq/kg) Cs合算 (Bq/kg)
コシヒカリ玄米 17.5 47.5 65 コガネモチ玄米 49.2 124 173
コシヒカリ精米 7.27 19.3 26.6 コガネモチ精米 21.6 52.2 73.8
コシヒカリご飯 2.13 5.96 8.1 コガネモチおこわ 7.27 16.5 23.8

南相馬市小高区耳谷 2013年度産

このサンプルは南相馬市小高区耳谷で試験的に栽培したもので、うるち米ともち米をそれぞれ玄米から炊いた状態でCsがどれくらい減少するか見た物です。
うるち米は玄米から精米することで4割に減少し、さらに精米を炊いてご飯にするとそこから3割に減少しています。玄米から炊いた状態でみると12.5%、1/8まで減少しました。
もち米も玄米から精米することで4割に減少し、精米を炊いておこわにすると3割強に減少しています。こちらも玄米から炊いた状態でみると13.8%、1/7まで減少しています。
以前、2012年に同じようにうるち米を玄米からご飯にした時は約1/10に減ったのですが、今回のご飯は若干高めの数値が検出しました。
 

測り続けることで見えてきたこと

・農作物は人が手をかけることでセシウムの移行を大幅に抑制できたことが経年で測定していくことで分かりました。
・しかし、山菜や野生のきのこは除染がほぼ不可能な場所で生育する事と、セシウムを濃縮しやすい性質のため大幅に基準値超えをすることが多いようです。
・魚介類については、流通品ということで測定件数が少なく、傾向を把握できていないのが現状です。
 

(あべひろみ)
 

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