10月1日付で福島県から発表された「平成26年産の柿を原料とするあんぽ柿及び干し柿等の乾燥果実の加工自粛要請について(平成26年10月1日) 」を見ると、「柿」から「あんぽ柿」・「干し柿」へのセシウムの濃縮具合が分かりますので、グラフにしてみました。

ちなみに、10月2日に福島民友で報じられたのはこちらの記事になります。

県北で生産の「あんぽ柿」などから基準値超セシウム（福島民友新聞） – Y!ニュース http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20141002-0010001-minyu-l07

魚拓

今回、「あんぽ柿」44点のうち100Bq/kgを超えたもの3点、「干し柿」は44点のうち、4点ということでした。

「あんぽ柿」の濃縮度合の平均は3.5、「干し柿」の平均は4.8でしたが、「あんぽ柿」と「干し柿」で同じ位の数値になっている物や「あんぽ柿」の方が「干し柿」よりも高くなっている物もあります。これについては加工場所の情報がないのでなんとも言えませんが、柿に含まれるセシウムの濃縮とは別に屋外ということで表面にセシウムが付着して数値が高くなった可能性が考えられます。

これについては、以前「切干大根プロジェクト」 として汚染されていない大根を切干大根にしてどれくらいセシウムが付着するかを見ましたので、屋外で乾燥させればセシウムが付着することが分かっています。そもそもが「平成 24 年度農業分野における放射性物質試験研究成果説明会」での発表に触発されてうちもやったことなので、行政やJAも分かっている事です。現に福島市では切り干し大根などの乾燥野菜等の生産出荷について（お願い）として「乾燥にあたっては、チリやホコリ等が付着しないよう干し場環境に留意する必要があります」と出しています。ここからも分かる通り、原料柿のセシウムの数値が低くとも表面付着で乾燥による濃縮以上に数値が高くなる可能性が高いわけです。米の場合はセシウムの移行対策として大量のカリを撒くということをしているわけですから、柿の加工品に対しても屋外での乾燥の対策をするべきではないかと考えます。その対策(例えば屋内にする)によって味、風味が落ちるという懸念がありますが、米の場合も大量のカリが味に影響しているという話もありますし、「あんぽ柿」や「干し柿」もセシウム対策として考えてもいいのではないかと思います。いくら原料柿の段階でセシウム対策をしても限界があります。

また、現在モデル地区で生産された「あんぽ柿」はスクリーニングレベル以下(25～50Bq/kg)と検出限界未満(25Bq/kg未満)は出荷しています。2013年度の12月2日から1月13日の検査によるとスクリーニングレベル以下は9.6%です。これは米に比べるとまだまだ高い比率ですし、米と同程度の検出率までいかないと全面的な生産再開は難しいと思います。全量検査以外にも予算を付けて、加工段階でも対策をとってみるのも一つの手ではないでしょうか。