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201412/18

ストロンチウム90って ?

 平成27年度より、福島県いわき市にある「NPO法人 いわき放射能市民測定室 たらちね」がβ線放射能測定ラボでβ線測定の一般の受付を開始します。このラボでは、名前の通り、β線の測定をします。今、自治体の持ち込み測定や市民測定室が測定しているセシウムはγ線(*)になりますので、「たらちね」が行おうとしている持ち込みのβ線放射能測定ラボは画期的な事になります。

(*)実際はセシウム137もβ線を出しています。セシウム137の場合、β線を出した後にバリウム137mになり、そこでγ線を出してようやくバリウム137という安定した核種になって放射線を出さなくなります。

 現在、このβ線を測定する為に業者に出すと、20万円ほどかかります。通常の食品測定であるγ線測定は、自治体が行うという事もあって無料となり、ディスカウントが起こっていますが、β線測定ではそれがありませんので高止まりのままになっています。 何故、自治体はβ線測定を行わないのか? それは、今回の事故によって放出されたセシウム137とストロンチウム90の放出比は 1/100 程度とされているからです。従って、セシウム137を含めた食品の基準値はストロンチウム90 を含めて算出されることになっています。つまり、ストロンチウム90単独の基準値は無いわけです。これが、自治体でβ線測定がされない理由です。
 しかし、ストロンチウム90は性質がカルシウムに似ている事もあり、体の中に取り込むと骨に集まりやすいのです。一般的に測定されているセシウム137との大きな違いです。セシウム137の場合は筋肉に集まるので、新陳代謝により大人であれば3ヵ月程度で取り込んだうちの半分が排出されていきます。しかし、骨に集まるストロンチウム90はその性質から取り込んだ分が体外へ排出され、半分になるのに28年かかります。つまり、体内に取り込んだ場合、ほぼ一生ものなのがストロンチウム90なのです。

そして、市民放射能測定室のこれからは ?

 私たちは実際に自分で測定する事で、放射能の数値を確認してきました。最初はガイガーカウンターのような空間線量計から始まり、次に食品放射能測定器で実際に口にする物にどれだけセシウムが含まれているかを確認しました。その事によって、見えない、臭わない、聞こえない、感じない放射能を認識してきた訳です。行政が発表する測定データもあったわけですが、自分自身で測る事で、初めてその数値という物が実感できたと言えます。ストロンチウム90は放出比からいえばセシウム137よりも僅かかもしれませんが、水産庁が発表した測定データを見ると、放出比の理論値と違っている物も散見されます。その原因は考察しなければなりませんし、また、初心に返り、自分自身の目で確かめなければなりません。

 β線測定は化学処理を行わなければならない事もあり、誰でも出来るわけではありません。しかし、そのハードルをクリアしてスタートラインに立った「たらちね」の活動は称賛に値しますし、末永く続かなければなりません。どうか、みなさん、「たらちね」のβ線放射能測定ラボの応援をしてください。現在、市民放射能測定室はそれぞれ財政的に苦しいというのが実情です。しかし、このβ線測定というのは市民測定室にとって一つの夢であったわけです。それが実現できる、正にスタートラインに立てる測定室が出てきた訳ですから応援しなければなりません。

 チェルノブイリの事故の後にドイツでも多くの市民測定室が出来たといいます。しかし、それらは2年も経つと、ほとんどが活動を停止してしまいました。そして、それから25年後の日本の原発事故でも多くの市民放射能測定室が出来ました。しかし、ドイツと違い、事故から4年目を迎える中で、まだまだ測定室は活動を続けています。

 「みんなのデータサイト」という全国の市民測定室のデータ検索サイトも作られました。そして、前述のようにβ線測定をする測定室も現れました。国は今回の事故を矮小化しようとしていますが、やはり人口密集地帯で三基のメルトダウンが起こったというインパクトは大きいのです。これは、それに対応しようという人の素直な正しい感性ではないでしょうか?

 まだまだ、国や東電は公開していなかった情報を後出しで出してきています。それらを監視する為にも、私たちは放射能を中心とした測定をしていかなければなりません。そして、得られたそれらの情報が、皆さんの生活の一助となればと思います。

(あべひろみ)
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