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みんなのデータサイト『「見えてきたぞ、土壌放射能汚染」 ~ここまでありがとう!あと1年頑張ろう!!~』に参加して

 2014年10月から開始した「みんなのデータサイト」の東日本土壌ベクレルプロジェクトの報告会に参加してきました。これは第1期の目標とした1,700検体の測定データの達成報告と、それをマップ化したデータのお披露目会です。
 土壌データについては、1,700件を大幅に超え1,948件(2016年3月26日時点)となりました。この中には、土壌プロジェクト以前に独自に土壌測定を進めていた常総生協などの団体からデータを提供していただいた分もあります。これら提供していただいたデータは、深度5cmで採取するという基本フォーマットが土壌プロジェクトと合致しているものです。
MDS_chel 2
 2,000件近い測定データを経緯度に合わせてマップにプロットすると、地域ごとのセシウムの放射能濃度が浮かびあがってきます。そして、測定データが全体に均一ではなく、太平洋側に偏っていることも分かりました。今回の事故で放出された放射性物質は風向きと地形により、日本海側にまで及んだ分は全体から見ればわずかな量でした。空間線量が低いということで、地域住民にとっては事故の影響が実感しづらく関心が低くなっているのでしょう。採取協力を呼びかけても難しい地域ですが、新潟県で測定活動を続けている「あがのラボ」が「みんなのデータサイト」に参加し、採取と測定を進めてくれることになりました。こういったプロジェクトの広がりで、測定データの空白域が徐々に充実していくと思われます。
 また、今回はゲストの発表も興味深いものでした。その中で印象に残った二つの発表について記しておきます。まず。野口 靖(東京工芸大学准教授)さんが進めている「インタラクティブ・フクシマ・プロジェクト」は、事故後に厚生省が公開している食品の放射能測定データをグラフィカルに表示することで、情報を市民に分かりやすく提示する試みです。厚労省が公開している食品の放射能データは「みんなのデータサイト」の12,000件よりも圧倒的な量を誇っています。それらをデータベース化し、時間軸のバーをスライドさせることで、その時どきで検出された食品が表示されます。これは、文字で説明するよりも百聞は一見にしかずということで、実際にサイトを見てもらった方が早いです。最新のWeb技術を使用してのデータの表示はスマートであり、これは「みんなのデータサイト」も見習っていきたい点です。
 和田 秀子さん(フリーライター)は「女性自身 2016年3月22日号」に掲載した記事『福島県60小中学校周辺「放射性物質」土壌汚染調査「8割の学校で18歳未満立入り禁止の数値が出た!」』で行った土壌測定についての発表でした。これは土壌を測定したのち、セシウム137のみのデータをベクレル/㎡に換算して、日本の法律で定められた放射線管理区域やチェルノブイリ法の危険区域区分で解説した記事です。タイトルは煽り気味のショッキングなものですが、放射能測定をしっかりと行った上で書かれています。よく言われることですが、現在の福島県内は東京電力福島第1原発事故以前からある放射線管理の法律とは別の、事故後に成立した放射性物質汚染対処特措法(以下、特措法)が優先されて除染や避難地区の帰還が判断されています。しかし和田さんの記事は、もともとの放射線管理の法律に基づいて書かれているわけです。私たちは既に感覚が麻痺しているために疑問を持たなくなっていますが、放射線管理の観点から見れば、自然減衰や除染をしたところで放射能の数値や空間線量は依然クリアランスレベルを超えるほど高いのが現状です。その現実を改めて提示したのが、和田さんの調査でした。
 他、田中 キキさん(SAFECAST)の空間線量マップ作成、平井 有太(フリーライター・ふくしま30年プロジェクト理事)の土壌スクリーニングプロジェクトの発表もそれぞれ興味深く、10分の発表時間では惜しいものでした。
 これら、土壌プロジェクト以外の注目すべき取り組みについても触れることで、今回の報告会は非常に密度の高いものになりました。それも、土壌プロジェクトが第1期目標を達成したという中での発表だったからでしょう。今後、第2期目標としては2017年1月までに2,500件達成となっています。福島県内も、会津地方を始めとした空白域がありますので、今後はそちらの測定を積極的に進めていきたいと思います。
                                 (あべ ひろみ)

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