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20134/11

2013年04月08日 衆議院 原子力問題調査特別委員会 元国会事故調委員の発言と報告 -崎山比早子氏発言部分書き起こし-

福島民友でも取り上げられた崎山さんの発言の書き起こしをしました。
こうしてみると、民友記者がミスリードを狙ったのが分かります。
それでは、以下書き起こしです。


 今日お話しする点は3点あります。
1点は、提言3の被災住民に対する政府の対応で特に健康の問題というところと
2番目に、低線量放射線のリスクが何故過小評価されてきたのか、国会事故調で明らかにしたことということ、
3番目に、緊急被ばく医療体制のことについてお話致します。
 
 1番初めに、健康問題についてです。
汚染地区に住む被災者は長期にわたる低線量被曝を受けていることになります。
その被災者の健康被害、健康不安に対応するために、国の負担による継続的な被曝線量の測定と医療の提供をするように提言は求めています。
その場合、低線量被曝のリスクをどう評価するかということが汚染地からの避難基準を決めたり、将来にわたる健康被害の予測、あるいはその対策をたてる面で重要な問題だと思います。
 国際放射線防護委員会(ICRP)とか、国連科学委員会(UNSCEAR)をはじめとする国際機関では放射線に安全量はないといういわゆる「しきい値なし直線(LNT)モデル」というものを採用しています。
この裏付けとなっているのが、広島・長崎の原爆被曝者の生涯追跡調査をはじめとする各種の疫学調査、あるいは動物実験、あるいは基礎実験などの膨大な量の証拠があるわけです。
理論的にも放射線に安全量はないということは、生物の体を構成している分子を結びつけているエネルギー、その大きさに比べて放射線の持つエネルギーが桁違いに大きいということがあると思います。
 
 放射線に安全量はないというICRPのリスクモデルから考えますと現在の避難基準の20mSvのリスクでは1000人に一人のがん死率が増加するという計算になります。
特に胎児や子どもなどは成人の4倍から7倍くらい放射線に感受性が高いことで注意が必要だと思います。
しかし、今福島では20mSv以下ならば安全というような基準で政策が進められています。
20mSvというのは放射線作業従事者の年間限度線量です。
そこに感受性の高い妊婦や子どもが住んでいるというのは、事故調の提言した住民の安全と健康を第一という思想からはほど遠いものがあると思います。
住民に正しい情報を提供して、避難を含めた被曝低減をするということが将来の人々の健康にとって喫緊の課題だと思います。
 現在、福島県民に対してのみ健康管理調査として主に甲状腺検査が行われていますが、放射能汚染された地域は福島県だけではありませんので、周辺の県の線量が高い地域も福島県と同様に国の責任において健康管理を行ってゆく必要があると思います。
 

 それからもう一つ、低線量被曝のリスクが何故過小評価されてきたのかという事ですけれども、先程も述べましたように放射線には安全量が無いというのが科学的な裏付けを持った国際的な合意事項になっています。しかし、福島の原発事故以後特に目立ってきた傾向ですけれども100mSv以下の低線量では放射線が病気を引き起こす証拠は無いというようなことが声高に言れるようになってきました。これはなぜでしょうか?
 それは問題がすでに科学という事から離れて、政治、経済的な問題になっているからだと思います。これを裏付けるような調査結果が事故調の調査で分かりました。それは報告書の5. 2.3「最新の知見の取り扱いをめぐる議論」に書いてあります。で、これはあまりメディアも取りあげてくださらないのですが重要なことだと思います。
 電事連の内部資料を調べて分かった事なのですけど、電事連が放射線のリスクを低く見積もるように、安全委員会とか、放射線専門家、ICRPの委員に働きかけて成功していることが明らかになったわけです。その成果としてICRPの2007年の勧告に「電力の主張が全て反映された」という記述もあります。ちなみにICRP委員の国際会議への出席の旅費は長年にわたって、電事連が放射線影響協会を通じて支払っています。
 電事連はこの他にも、研究の動向も監視しています。これは、武藤元東電副社長が仰ったことですけども記録に残っています。「悪い研究者に乗っ取られて悪い方向に向かわないよう研究の動向を監視しておくこと」と発言していらっしゃいます。これに象徴されるように、規制を強める結果が出る研究というものが悪い研究になっているわけです。こういうことからも伺えますように低線量放射線のリスク評価ということは、電力会社や原子力を進める行政の思惑がかなり入っている、純粋に科学的な問題として考えられていないという事から、いつまでたってもこのリスクっていうのが、あるのか無いのかという議論になっている。科学から離れている事があると思います。
 
 それから3番目の緊急被曝医療体制についてですけれども。
緊急被曝医療というのは事故が起きてしまった場合には命を守るための最後の砦のようなものだと思うんですけども。事故調の調査では今回の事故では特に初期段階では、この体制がほとんど機能しなかったという事が明らかになりました。
日本の緊急被曝医療体制というのは三段階に分かれていまして、初期被曝医療機関、二次被曝医療機関、三次被曝医療機関という風になっています。それぞれの医療機関で処置できない患者を上位の医療機関に移す形です。
 問題はこの医療機関の立地条件、収容人数、それから被曝医療(医療被曝と発言していますが意味が違いますので被曝医療とします)に関する教育、などに分けられます。
今回の事故で福島県にある初期被曝医療機関、6病院の内3病院までが原発から10km圏内に入ってしまって、機能しませんでした。それで全国にある59の初期被曝医療機関の原発からの距離を調べましたけれども、20キロ圏内に58%の病院が位置しています。30キロまでですと64%がこの中に入ってしまいます。ですから、今回のように汚染が拡がった場合は病院が役にたたなくなるという事が考えられる。そういう可能性が大きいということです。
 収容人員に関しましても初期、二次被曝医療機関に収容できる人がだいたい一人か二人です。三次被曝医療機関は東日本は放医研、西本は広島大学でありますけれども、それぞれ10人程度しか収容できません。チェルノブイリのような事故で一度に数百人というような重症患者がでた場合にはどのように対処するのか、ほとんど対処しきれないという大きな問題があります。
 それから更に問題なのは、緊急被曝医療ができる医師の数が非常に少ないということです。
放医研でも毎年講習会を開いていますけれども、それに参加する医師の数というのは年に一人いるかいないか、という事なんです。
ですから、こういう事から考えますと現在の日本では事故が起きた場合、医療という狭い面からいっても対処できない体制だと言えると思います。以上です。


(あべひろみ)

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